最後に見たのは街の灯火

幾度と無く下見もした。アナウンス用のメモも準備万端、声がちゃんと皆に届くかどうかこっそり練習もしてみた。
仲間達へのサポートのお願い。誰もが快く引き受けてくれた。
それでもこの緊張感は治まらない。毎回毎回がこんな調子だ。
上手く案内出来るだろうか。まとまるだろうか。初めての参加者はいるのだろうか。
皆、楽しんでくれるだろうか・・。

オイラは定期的に世界各地のエーテリアルゲートを巡るツアーを開催している。
今日はラノシア地方を案内する予定なんだ。
前回の黒衣森ほど道は厳しく危険な物ではないはず・・。広々と開放感のある風景も美しいし、きっと楽しい旅になるだろう。

ツアー集合場所のリムサ・ロミンサチョコボ留は大勢の参加者でごった返していた。
多い・・・多いなんてもんじゃないぞ?70名近く・・・だと・・・?
大丈夫だろうか・・。さすがに身が引き締まった。

早速ピンクのオシャレ着に身を包んだ一行がはしゃいでいる。場を盛り上げるためにいろいろ仕込んでいるに違いない。
ツアー用のリンクシェルを配布してくれているテキパキとした仲間の声が聞こえてくる。
PT編成を終えた参加者を誘導して、キャンプへ連れて行ってくれ、あれこれ注意を促してくれている声もする。
ありがとう。オイラはいっぱいいっぱいだから返事は出来ないけれど、それぞれがそれぞれの思いでこのツアーを盛り上げようとしてくれているの、分かってるよ。ついつい頬が緩んでしまうんだ。
まだ全体の雰囲気がざわついていて落ち着かないのはいつものことだ。
大丈夫。少しずつ、少しずつ皆の心がまとまってくる。オイラはその瞬間を知っているんだ。

なんとかPTもまとまり、キャンプ:ビアデッドロックからツアーの出発だ。
手近なところから回っていくんだけれど、人が多すぎて全体を把握するのがやっとだ。
早速ビアストの洗礼を受けている人もいる。歩いてって言ったじゃないかw
でもすぐにレイズがその人に飛んで来る。ビアストを引き付けて時間を稼ぐナイトがいる。
オイラが何も指示しなくても、ゲートを開通済みの仲間達が静かにサポートしてくれている。
さあ、皆さん前に進んでくださいね!

危険な場所を幾度も通り、カニやらハエやら厄介なヤツらに道を阻まれてもオイラ達は進む。
最後のお一人はちゃんと辿り着けたかな?
この辺りで一度休憩を入れようかと立ち止まって見上げたのは雲の隙間から見える星空。

ダラガブが紅い。
どんどん大きくなるあの星を見て不安にならないエオルゼアの民はいない。
もうすぐオイラ達は未曾有の困難に直面するのだろう。刻々とその瞬間が近付いている。
今見ているこの星空ももう数日で見られなくなってしまうのかもしれない。

先日、変な紙片を探していた賢者がオイラに教えてくれたんだ。
危機を目にするときが来る。その時に親しき友を想えって。
苦しい時に助け合える仲間。一緒に生き延びて新しい世界を見ようとする仲間。
もしかしてこのツアーに参加したことで、そんな仲間が出来た人がいるなら・・おこがましいけれどそんな気持ちもちょっとはあるんだ。

しんみりした気持ちでお茶を飲みながら空を見上げていたら、カボチャ達のキャアキャア声が聞こえて来た。

全くなんなんだこの連中は。感傷に浸る間もないほどに笑ってしまうじゃないか。
ああ、なんとなくこの休憩を境に皆の気持ちがまとまり始めたな。うん、この瞬間がオイラ一番好きだな。

夜が明ける。さあ、出発だ。

歩いて行く。この美しい大地を。
この世界が例え無惨に破壊されてしまう時が来たとしても、オイラ達はこの夜明けの柔らかな光を知っている。
この先何があったって、これを見た連中ならいつかまた必ず美しい世界を取り戻すと信じているさ。

長い長いツアーの後半も厳しい試練は待ち構えている。
やれやれ、スモレンコスは本当に厄介だな。
レイズ部隊も手こずっているようだけれど、着実に一人、また一人とゲートに送り届けているのはさすがだ。
もう緊張もしない。焦らない。心強いこいつらがいるからね。

ようやく最後のゲートに着いた。良かった。
記念撮影?うん、ちょっと歩くけどここじゃないんだ。こっちへおいでよ。
皆をおとっときの場所に案内しよう。

岬の突端からはリムサ・ロミンサの街灯りが見えている。そう。ここだよ。
世界を巡る旅をして、帰って来た時の街の暖かな灯火。これを見るのが大好きなんだ。
危機をくぐり抜けて辿り着いたゲート。いつしか笑い合い、ふざけて飛び跳ねる仲間達。
見慣れていたあの灯火が少し違って見えるような気がしないか?
そんな言葉を口に出して押し付けることはしないけれども、誰か一人でもこの気持ちに気付いてくれただろうか。

ほら、また夜明けだ。

口々に皆が声をかけてくれる。お疲れ様。ありがとう。
オイラの方がお礼を言いたい気持ちになって来ちゃうな。楽しかった。参加してくれてありがとう。
もう全身がクタクタで明日は動けそうにないけれど、心地の良い疲れだな。これがあるから止められないんだ。

さあ、笑いながら皆で帰ろう。あの街の灯火の中に。

※このお話はアルヒャの妄想100%で出来ています。実際のツアー内容やダイチさんの気持ちとは全く異なる内容がきっとあります。
ご本人からの苦情だけ受け付けます(・w・)
楽しいツアーをありがとう!

コメント

  1. ナオ より:

    Unknown
    ロドストの方には書けませんでしたけど、MOBの引き付けに特攻レイズ、ありがとうございました。
    結構長いことダイチさんの隣にいるんですが、僕から見たダイチさんにぴったりで驚きました。読み進めると進めるほど嬉しくなるというか・・・。いや、このへんでやめとこw
     とにかくありがとうございました。

  2. 珍獣 より:

    Unknown
    こちらにもお邪魔します!
    本当に本当に、素敵な文章をありがとう!
    何度も読み返して、何度もじんわりきてますw
    こんな風に書いてもらえるオイラは幸せ者だなと思いました。
    でも参加してくれた皆さん、サポートしてくれたナオさんや、救護班として頑張ってくれたあるひゃんたちのおかげで、いいイベントになったと思ってます。
    本当にありがとう、感謝の言葉しか出ないけど、その一言で伝わる戦友だと思ってます!
    ありがとう!!

  3. アルヒャ より:

    なんだよなんだよ
    二人してダブルコメントとか熱いね!@x@

    >なおさん
    そうだよね、私よりもっともっと近くにいる人達がたくさんいるというのに・・なんか勢い余って書いてしもうたww
    イメージに近かったですか?
    その言葉が嬉しいです
    運営ありがとうございました!

    >ダイチ・・珍獣さん
    イヤもうホント恐縮ですw
    なんか憑依したんだよwww書きたくなっちゃったんだよwww
    あの大勢をまとめる大変さ、徐々に変わっていく雰囲気、大変なんだけど感じる楽しさを私の見たままにお伝えしたかった
    最後のリムサの街を見た時に「これを見せたかったのかな」って思って、どんどんお話を作ってしまいました

    丁寧に作られたイベントは回を追う事に洗練され、より高みに昇っていくように思います
    そういうイベントを主催する人を出来るだけ応援したくなるのが性分と言いますか・・w
    貴方は私が尊敬する主催さんのお一人です
    この文章がお礼の言葉の代わりになれば嬉しいな♪
    今度ゆっくりと初めてのチャットもしましょうww

  4. フィー より:

    おつかれっした~!
    アルヒャさんも、イベントお疲れ様でした!
    エーテライトめぐり、実は初参加だったのですが・・・余りの洗練され具合に驚きでした(@@

    最短ルートを通って、デンジャーゾーンでは注意勧告して、倒れ行く仲間の救出の指揮をとったりと・・・パーフェクト主催者様でしたねw

    そんな運営者様達への尊敬と、感謝の気持ちが詰まった日記だと思います。
    アルヒャさんの純粋な気持ちがとてもキレイだと感じました(*・ω・*)

  5. アルヒャ より:

    初参加おめ!
    >フィーさん
    いいタイミングで参加出来たようですね~(゜ー゜)b
    楽しいですよね、このツアー!
    今回は風景もホント綺麗だったし・・(ー`*)
    毎回日記を楽しみにしてもらっていたので、何か一工夫しようかなと思っていたらどんどん雪だるま式に転がってこうなりましたw
    ありがとうございます♪

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