
ブブブブブ。
振動音がポケットから伝わってくる。
タブレットからの連絡は、ついにグランマ・ローレルを復旧させるため行われる、共同施工作業の招集だ。
ディリズさんの見立てでは、おそらくこれが最後の大規模な作業になるだろうということだ。
しかし、時間が悪い。
張り切っているコマンディングウェイには申し訳ないが、今の時間はちょっと呼べる仲間が少ない。
アーテリスに帰って、アルシャールを手伝っていたり、地図を開けていたり、しばらくぶりの我が家の模様替えをしていたり、つまりはすぐ共同施工作業に駆けつけられる作業員が足りていないのだった。
ずっとこの宇宙開拓の進捗を楽しみにしている友人も、今は遠く離れた場所にいた。
最後の作業に加わりたいとギリギリまで予定を調整していたのにな。
念のため、通信を飛ばしてみたが、返信は無し。
「手を離せないほどに忙しい」ということだ。
残念だ。一緒に完成を見届けたかった。
せめてこの記録を残しておこう。

なんとか間に合った友人もいたので、コア・シュラウドへ向かう。
コア内部は、投光器があちこちにセットされ、なんとか作業できる程度の明るさにはなっていた。

作業内容は、前回と同じ。
木の根に錬金剤を撒くことで、エーテルを活性化させて、グランマ・ローレルと名付けた中央の巨大な樹木を目覚めさせる。
そうすることで、きっとその前に置かれた端末も起動し、重要な情報が読み取れるだろうとの目論見だ。
とにかく全体的にエーテルを巡らせることで、この都市を「起こす」ことができるんじゃないかと。




共同施工作業が始まった。

コマンディングウェイの指示に従い、フォーミュラタンクから錬金剤を補充し、

そいつを木の根っこへと噴霧する。

必死で駆け回ったが、1回目の作業は錬金剤の散布量が足りなかったようだ。
言わんこっちゃない。もうちょっと時間をかけて作業員を集められたら良かったのに……。
しばらく休憩したのち、2回目の作業にかかるようだ。

2回目の作業が始まった。
先程よりかなり人数が増えたようだ。
ムムッコの大号令によって、あちこちからかき集められたのかもしれない。
これなら成功しそうだね。

1回目はコア・シュラウド内部ばかり作業していたけれど、どうやら外周にも作業場があったらしい。
薄暗いとこで作業するのも目が疲れる。今回はこっちに注力しようかな。

いい眺め、いい風。
樹木も喜んでくれているといいんだが。
力任せに叩き起こされて、腹を立てていたりしないだろうか。

共同施工作業は、無事完了した。
数々の現場を仕切ってきたコマンディングウェイも感慨深げである。
コマンディングウェイと、蒼天街復興を取り仕切ったあの棟梁を会わせてみたいもんだな。
きっと意気投合することだろう。

ディリズさんも万感の思いといったところだろうか。
オイジュスからずっと追いかけてきた謎が、もう目の前にあるわけだからね。

今まで復旧させてきた、子葉の塔、常緑の塔、末葉の塔からもエーテルが流れ込み始めた。
これでグランマ・ローレルが起動するのか?

コア・シュラウド内部に入ると、中央には青白く光る球体が浮かんでいる。
これはどこかで―――――。
ああそうだ。これは宇宙船から見たこの惑星の姿だ。

端末もほんのりと輝き始めた。
滑らかな優しい青白い光。
荒っぽいやり方で叩き起こされたことを、少なくとも怒ってはいないようだな、となんとなく思った。



コアシステムは、まだ完全には復旧できていないらしい。
ディリズさんの口ぶりであれば、そんなに時間がかかることもなさそうだ。
もう少しで、「先駆者」の足跡が分かるかもしれない。
エーテルがあとちょっと満ちれば。

<あとがき>
長かったコスモエクスプローラーも、最後の共同施工作業を終えました。
この後受注できるクエストによって、一連の物語は完結となります。



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