作業台の上に置いてあったタブレットが、急にブルブルと震えた。
ようやく共同施工作業の準備が整ったらしい。
開拓クルーは準備をして所定の時間に集まるように、とのメッセージだった。

惑星アウクセシアに来て、どれくらいが経っただろう。
月から始まった宇宙探索の旅は、パエンナ、オイジュスと続き、4番目の惑星がこの緑あふれる星だった。
惑星オイジュスで見つけた遺構には、元々住んでいたらしい「先駆者」によって、このアウクセシアまでの航路が残されていた。
おそらく、オイジュスの重力場が不安定になり、居住地としての未来が見えなくなったため、星を棄てて旅立ったのだろう。そこまではわかる。
だが、彼らを追いかけて到着したこの豊かな星アウクセシアにも「先駆者」の姿は見えなかった。
人々の生活が無くなってかなり経っていることは、その荒廃っぷりからもわかった。
しかし、植物は繁茂し、空気は(我々にとって)正常に保たれ、都市機能も眠っているだけで破壊されてしまったわけでもない。
なぜ「先駆者」はここを離れてどこかへ行ってしまったのだろうか。
この星に着いた当時は、住民がいる可能性を探して、大規模な捜索が行われた。残念ながら何も見つからなかったわけだけれど。
消えた住民。残された遺構。
頭の隅を過ぎるのは、メーティオンが訪れた可能性だ。
この星の住民に、とびきりの絶望を与えて滅ぼしてしまったんじゃないか。
どこかにでかい墓地が眠っていたりするんじゃないか。
しかし今のところ、それらに関しても何の手がかりもない。

木々に丸い紋様が描かれている光景は、なんだかアロアロ島を思い出す。
円や螺旋を基調とするデザインは、施工の難易度が格段に上がることもあって、高度な文明の証だ。
植物をモサモサと繁栄させる辺りも、なんだか造園家ハルマルトの力を連想させる。
でもこんなに遠く離れた星に、アシエンの力が届くものだろうか。

都市の各機能を見ていると、不思議な違和感がある。
道のサイズ、乗り物と思われる物のサイズ、ベンチと思われる物のサイズ、これらがアーテリスのヒトと同じようなサイズであることだ。
そんなことある? この広い広い宇宙で?
そりゃもちろん、ウルティマ・トゥーレで出会った種族が近しいサイズ感であったことも覚えているけれど。
それらを踏まえても、この「先駆者」の文明の手触りが、我々の文明に近いことは言えそうだ。もっとずっと発展したものではあるが。
うーん、わからない。
今回の共同施工作業は、コア・シュラウド周辺の環境を整備するのだそうだ。
この惑星探索で見つかった、子葉の塔、常葉の塔、末葉の塔と呼ばれる螺旋模様の塔には、どでかい情報媒体があるらしい。
塔にエネルギーを注入して復活させ、そこにある情報を読み取ろうというわけ。
これまでの作業で、この3つの塔がそれぞれ都市機能の制御を司っていたことはわかったんだけど、高い知性を感じさせるような重要な記録はまだ見つからないんだって。
そこで目をつけたのが、基地からも見える巨大な白い塔。これをコア・シュラウドと名付けた。
ここなら、「先駆者」について有用な情報が得られるんじゃないか。
ディリズさんを始めとする開拓クルーの期待もかなり大きい。
私のような一介の現場作業員にとって、ちょっとワクワクするのは、この白い塔に登れること。
パワーローダーで、最上階までひとっ飛びだよ!

最上階に着いたら、ローダーに積まれた錬金剤をたっぷりと樹木に振りかける。
これで、樹木を活性化させるんだ。
この惑星の樹木は都市の血管のようなものだから、活性化させることで塔の機能も目覚めるはずなんだな。
いよいよ大詰めということもあって、作業員仲間の声もちょっと弾んでいる。

白く立ち枯れた樹木に栄養を注ぐ合間に、最上階からの眺めも堪能する。
どこまでも続く都市網、遠くの峻厳な山々、美しい星だよね。どうしてここを棄てなきゃいけなかったんだろう。

共同施工作業は無事完了し、コア・シュラウドの中枢であるグランマ・ローレルの扉も開くことができた。
巨大な木の根っこの前には、1つの端末がある。これが生き返れば、この星の謎が解けるかもしれない。
しばらくは、マスターシップミッションでもこなしながら待つとしよう。

コア・シュラウドと下層を行き来するコスモライナーの乗り心地も最高だ!
ゴールドソーサーのエアフォースパイロットみたいな疾走感! 眺めもいい!
ちょっと何度か往復しちゃおうかな。

開拓クルーは、早速ありとあらゆる場所から情報へのアクセスを試みている。
この根っこ一株にも物凄いデータがあるんだって。
解析できるまで、また徹夜するのかな。あとで夜食でも差し入れようか。
基地に戻って、コア・シュラウドを見上げると、そこには明るく息を吹き返した大樹の姿があった。

<あとがき>
久しぶりに、ただの日記を書いてみたくなって書いてみました。
コスモエクスプローラーは全工程のSSを保存してはいるんですが、詳細にまとめようと思うとちょっと時間がかかりすぎます。
でも、新しい風景にワクワクしたり、NPCの会話に深読みをしたり、ちゃんと楽しんでいるんだよという足跡を残しておきたい。
原点に立ち返って、こんなふうにある1日を切り取った日記なら、もっと気軽に記録を残せるかな。
特にシリーズ化もしませんが、コスモだけじゃなく、たまにはこんな感じで書いていこうかと思います。
どうぞよろしく。



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